もう10回以上は聴いたかな。車の中で、部屋で、ヘッドフォンで。
このモンスターなバンドの「ラストアルバム」かも知れない、モンスターなアルバムを。
しかし、初めて通して聴いた時から、聴けば聴くほど、
違和感の様なものを覚えていた。物足りなさというか。
今現在の感想なので、まだ回を重ねれば変わるのかも知れないが…。
リードシングル『ヘル・オア・ハレルヤ』は良かった。
僕の感覚では、例えば古くは『愛の謀略』タイプの曲をハードにし、
現代風にした曲だと思うが、続くアルバムの中身を期待させるに充分な輝きを放っていた。
前作『SONIC BOOM』は、ジーンの曲が良いアルバムだったと思う。
『イエス・アイ・ノウ』、ポールと交互に歌う『スタンド』が良かった。
反対にポールは、リードシングルだった『モダン・デイ・デライヤ』も
いま一つな印象だったし、他にもノドの調子が悪そうな感じの曲もあった。
僕の好みとしては、
- 『スタンド』A
- 『イエス・アイ・ノウ』A-
- 『ネバー・イナフ』B+
- 『オール・フォー・ザ・グローリー』B
これを今回の『モンスター』に当てはめてみると、
- 『ヘル・オア・ハレルヤ』A-
- 『テイク・ミー・ダウン・ビロウ』B+
- 『シャウト・マーシー』B
- 『オール・フォー・ザ・ラブ・オブ・ロックンロール』B
- 『フリーク』B-
『オール・フォー・ザ・ラブ・オブ・ロックンロール』のエリックのボーカルは
確かに良かったが、曲があまりにもイーグルスっぽ過ぎてKISSらしくなかった。
こういう曲を歌わせるなら、今回はバラードは入れない趣向だった様だが、
いっそエリックのバラードでも良かったのでは?
今日行った文房具屋で、ラジオか有線かよく分からないが、
たまたまKISS特集みたいな番組が流れていた。
かかった曲は、『ラヴィン・ユー・ベイビー』『ハードラック・ウーマン』
『シャンディ』『リック・イット・アップ』『ティアーズ・アー・フォーリン』
『ゴッド・ゲイブ・ロックンロール・トゥ・ユー・Ⅱ』など。
人目をはばかって歌い出しはしなかったが、どれも口ずさみたくなる曲ばかり。
たとえ単純と言われても、キャッチーで、一発で覚えられて、
メロディアスで、ワクワクして、聴いて楽しくて、一緒に歌いたくなる。
店内でこれらを聴いて改めて思った。僕がKISSに求めているのはこれなのだと。
実際『モンスター』は大したエネルギーが詰まったアルバムだ。
とてもこの年齢で作った物とは思えない。
バンドがとても充実しているのも分かる。迷いも感じられない。
堂々とこれがバンドの現在進行形だと言い切っている。
昔、雑誌のインタビュー記事でジーンは、
「ライブで演る曲は山ほどあるのに、新曲を作る必要などどこにあるんだ」
と言っていた。70年代の過去の遺産にすがらず、
今回このハードなアルバムを完成させた事は賞賛に値する。
これでいいんだろう。ただ、僕の期待するものとは少し違っていた。
いわゆる『KISS CLASSIC』と同等に値する曲は今のところ無いように思う。
期待が大きかっただけに残念だけど、そういう事だ。