菜箸亭●本日のおススメ

アナログ親父のMUSICLIFE & GOODS

KISS/モンスター〜地獄の獣神 を聴いた

もう10回以上は聴いたかな。車の中で、部屋で、ヘッドフォンで。

このモンスターなバンドの「ラストアルバム」かも知れない、モンスターなアルバムを。

 

しかし、初めて通して聴いた時から、聴けば聴くほど、

違和感の様なものを覚えていた。物足りなさというか。

今現在の感想なので、まだ回を重ねれば変わるのかも知れないが…。

 

リードシングル『ヘル・オア・ハレルヤ』は良かった。

僕の感覚では、例えば古くは『愛の謀略』タイプの曲をハードにし、

現代風にした曲だと思うが、続くアルバムの中身を期待させるに充分な輝きを放っていた。

 

前作『SONIC BOOM』は、ジーンの曲が良いアルバムだったと思う。

『イエス・アイ・ノウ』、ポールと交互に歌う『スタンド』が良かった。

反対にポールは、リードシングルだった『モダン・デイ・デライヤ』も

いま一つな印象だったし、他にもノドの調子が悪そうな感じの曲もあった。

僕の好みとしては、

  1. 『スタンド』A
  2. 『イエス・アイ・ノウ』A-
  3. 『ネバー・イナフ』B+
  4. 『オール・フォー・ザ・グローリー』B

これを今回の『モンスター』に当てはめてみると、

  1. 『ヘル・オア・ハレルヤ』A-
  2. 『テイク・ミー・ダウン・ビロウ』B+
  3. 『シャウト・マーシー』B
  4. 『オール・フォー・ザ・ラブ・オブ・ロックンロール』B
  5. 『フリーク』B-

『オール・フォー・ザ・ラブ・オブ・ロックンロール』のエリックのボーカルは

確かに良かったが、曲があまりにもイーグルスっぽ過ぎてKISSらしくなかった。

こういう曲を歌わせるなら、今回はバラードは入れない趣向だった様だが、

いっそエリックのバラードでも良かったのでは?

 

今日行った文房具屋で、ラジオか有線かよく分からないが、

たまたまKISS特集みたいな番組が流れていた。

かかった曲は、『ラヴィン・ユー・ベイビー』『ハードラック・ウーマン』

『シャンディ』『リック・イット・アップ』『ティアーズ・アー・フォーリン』

『ゴッド・ゲイブ・ロックンロール・トゥ・ユー・Ⅱ』など。

 

人目をはばかって歌い出しはしなかったが、どれも口ずさみたくなる曲ばかり。

たとえ単純と言われても、キャッチーで、一発で覚えられて、

ロディアスで、ワクワクして、聴いて楽しくて、一緒に歌いたくなる。

店内でこれらを聴いて改めて思った。僕がKISSに求めているのはこれなのだと。

 

実際『モンスター』は大したエネルギーが詰まったアルバムだ。

とてもこの年齢で作った物とは思えない。

バンドがとても充実しているのも分かる。迷いも感じられない。

堂々とこれがバンドの現在進行形だと言い切っている。

 

昔、雑誌のインタビュー記事でジーンは、

「ライブで演る曲は山ほどあるのに、新曲を作る必要などどこにあるんだ」

と言っていた。70年代の過去の遺産にすがらず、

今回このハードなアルバムを完成させた事は賞賛に値する。

これでいいんだろう。ただ、僕の期待するものとは少し違っていた。

いわゆる『KISS CLASSIC』と同等に値する曲は今のところ無いように思う。

期待が大きかっただけに残念だけど、そういう事だ。