陸上競技の男子100mで、京都洛南高校の桐生祥秀選手が
日本人初の9秒台を出すのではと期待された5月5日のゴールデングランプリ2013東京。
残念ながら今回はお預けとなったが、今後国際大会などを経験していけば、
いずれ達成できるのではと思ってしまう。1998年の伊東浩司選手が10秒00を記録して以来、
公式では日本人の誰も達成する事が出来ていないタイムだ。
全くレベルの違う話だが、ウチの息子も陸上競技をやっていて同じく3年生。
今度の総体の成績によっては、それが高校競技でのラストになる。
いや、それこそ奇跡でも起きない限りそこで引退。
もともと走るのが速いわけではない。普通の子より体力もなく、運動神経も鈍い。
球技など全くダメで、団体競技には向いていないから、個人で出来る少林寺拳法や、
走る事、それも才能が圧倒的要素を占める短距離ではなく、競技人口も少なく、
本人の努力次第である程度なんとかなる中・長距離を選んでやらせた。
そして彼は、なぜ自分がそれをやらなければいけないのかなどと文句も言わずやった。
中学時代は主に1500mで、競技人口全体の中間位の順位。
それでも組み合わせによっては、その組15人中1位でゴールする事もあった。
参加者全員の中では1位に程遠いタイムだが、嬉しかった。涙が出た。
高校になり競技者は激減した。自分の才能に見切りをつけた者、他の競技に移った者、
彼よりタイムの悪い者はほとんど辞め、たちまち彼は最下位になった。
しかし彼は辞めなかった。表彰台に上がったりすることも無く、
才能や努力を誉められたりすることも無いが、自分の記録と戦うことは出来る。
彼の高校の今のチームにも100mで県代表になる凄い才能の選手もいる。
中学から一緒にやってきて、その頃はあまり速くはなかったが、
今や11秒台前半で走れるまでに成長した選手もいる。
また、小学校~中学校はダントツに速くて、将来を嘱望されたが、
高校に入って伸びなかったり、ケガに泣き競技を断念した選手もいる。
最近は400m、800m、1500mと色々やっている。
自分の専門とする種目では出場の機会があまりなかったからでもある。
つい先日も競技会があった。少しずつ伸びていたタイムも今回は記録更新とはならなかった。
人生そんなものだ。急に何秒も伸びるわけが無い。いい記録が出たり、前より悪かったり、
一年間全く更新出来なかったり。
奇跡など起きはしない。いい記録が出たとしたらそれは努力した結果だ。
努力して結果が出る程嬉しい事はないだろう。
たとえ一番でなくても、自分の目標としたタイムを達成して笑顔で終わって欲しい。
そして出来れば彼が少しでも長く競技を続けられる事を願う。
そう、神様、彼が流した汗の分だけでいいから。